高次脳機能障害の主な症状は記憶障害、注意障害、遂行機能障害や対人関係がうまくいかない、感情のコントロールができないなどの社会的行動障害です。
記憶障害とは、事故や病気の前に経験したことが思い出せなくなったり、新しい経験や情報を覚えられなくなった状態をいいます。
記憶障害の程度や内容は人によって、また日によって、バラツキがあります。また、習慣的な行動や、家に帰る道順などは手続き記憶として覚えることができ、受傷前に覚えた知識は比較的残っています。想起できない場合に周囲がヒントを出したり、自分の書いたメモを見ると、必要な情報を取り出せることがあります(手がかりがうまく使えない)。
注意障害とは、周囲からの刺激に対し、必要なものに意識を向けたり、重要なものに意識を集中させたりすることが、上手くできなくなった状態をいいます。
注意の「持続」「集中」「配分」が障害される。特に様々な情報を同時に処理したり、判断しながら処理することを必要とされる課題でミスが顕著に増大します。
遂行機能障害とは、論理的に考え、計画し、問題を解決し、推察し、そして、行動することができない。また、自分のした行動を評価したり、分析したりすることができない状態をいいます。
前頭葉にある人間のもっとも高次な機能で、自分を認識したり、目標を設定し、そのためのプランを立てたり、行動が目標に向かってうまく行われているかどうかをモニターしながら修正していくような機能です。
目標を決め、計画し、効率よく課題を解決することや、開始した行動をモニターし、コントロールしながら目的を達成することが困難になります。自分の障害を認識できないために、現実離れした目標にこだわったり、補償行動をとろうとしなかったりします。
社会的行動障害は、行動や感情を場面や状況にあわせて、適切にコントロールすることができなくなった状態をいいます。